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【臨床獣医師の辛いこと】獣医業界の問題を解決するためには女性の働きやすさが鍵!

問題解決のイメージ画

毎日仕事に行くのが辛い。
獣医に向いてないのかも・・・

獣医師として働いていると、仕事に対して「辛い」「向いていないのかも」と思う人は少なくありません。

それは、ミスをしてしまったというような自分自身の問題だけではなく、少なからず獣医業界が抱える問題が関係していると私は思っています。

仕事が辛いと感じている人は、その背景を知った上で解決策を考えることが必要です。

この記事では、動物病院での勤務が辛いと感じている人に向けて、以下の3つを解説します。

この記事を読んでわかること
  • 臨床獣医師が辛いと感じていること
  • 獣医業界の抱える課題
  • 仕事が辛いと感じた時の対処法

この記事を読むと、獣医業界の抱える課題と仕事が辛いと感じた時の対処法がわかります。

辛いと感じることをゼロにすることはできませんが、適切に対処することで問題の重大性を下げたり働きやすさにつながるヒントが得られると思うので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
  • 動物病院と公務員で3回の転職を経験
  • 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
  • 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
  • 2児の母。
目次

獣医師になって辛いと感じた6つのこと

獣医師という職業は動物の命を扱うため、とても責任の重い仕事です。

特に臨床獣医師は、体力的な負担に加え精神的なプレッシャーを感じることも多く、双方の面から辛いと感じる場面が多々あります。

ここでは、私の周囲で聞いたことを含め、私自身が辛いと感じたことを6つ挙げたいと思います。

  • 不規則な勤務
  • 気持ちの切り替えがむずかしい
  • 体力が必要
  • 労働に見合わない給与
  • 必要のない安楽死
  • 獣医業界の体質

何といっても獣医師には体力が必要です。

基本的に立ち仕事な上に、20キロ以上ある大型犬を抱えたり保定するのは体力勝負です。

そして、ほぼ毎日時間外勤務が発生するので定時で帰ることはまずできません。

休日は自己研鑽のための勉強時間にあてたり、重症患者を担当している時は、様子が気になり病院へ出向くこともありました。

そのため新人の頃は、オンとオフの切り替えが上手くできず、常に気が張って疲れ切ってしまっていました。

まめしば

次の記事では、私自身の体験も交え詳しく解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてください!

そして、中でも一番辛かったのは、「獣医師としてこうあるべき」という無言の圧力でした。

獣医師は日々自己研鑽が求められ、知識と経験を積むことでスキルを向上させ、患者さんに還元する必要があります。

しかし、獣医師といえども一人の人間です。疲れが溜まれば休みたいという気持ちになるし、常に集中力を高く維持するのは困難です。

また、先輩獣医師より先に、または多く有休を取れなかったり、先に帰ることができない体育会系の風潮も苦手でした。

無言の圧力
  • 「早く帰りたい」はやる気がない
  • 先輩獣医師より先に、または多く休むのはやる気がない
  • 手術には全て立ち会い、見て学ぶべき
まめしば

確かに長時間勤務し、全ての手術に立ち会い経験や知識を吸収できれば理想ですが、人間なので常に全力で頑張れるわけではありません。。。

獣医業界の抱える課題

私の場合だけではなく、動物病院の仕事を辛いと感じている獣医師は少なくないと思っています。

働きにくさを感じたり、獣医師の離職率が高い理由の一つには、院長の経営能力の問題があげられます。

全く経営について学ぶ機会がなかった院長が、診療と経営の二足のわらじを履き利益を上げ続けるのは並大抵のことではありません。

多くの場合、労務管理が疎かになったり、そうとは知らずに違法な勤務をスタッフに強いることにつながっている現状があります。

しかし、私は院長の経営能力の問題だけではなく、獣医業界が抱える問題が根底にあると感じています。

獣医事審議会の資料によると、獣医業界は次のような問題を抱えています。

獣医業界の抱える課題
  • 女性獣医師の復職支援の不足
  • 動物病院の市場規模縮小の可能性
  • 専門医制度の未整備                      (参考:獣医事審議会計画部会説明用資料

現在30歳以下の女性獣医師の割合は半数におよび、将来は女性獣医師が過半数を占めると予測されています。

それに対し、6%の女性獣医師は無職という調査結果が出ています。

まめしば

医師や歯科医師の無職の割合は1%程度です。
このことから、獣医師という職業の離職率がとても多いことがわかります。

女性獣医師が離職しないで済むような、働きやすい環境を作っていかなければ獣医師不足が加速しまうことになりかねません。

また、犬猫の飼養頭数の推移は、猫はほぼ横ばいの状態ですが、犬は2008年の13万頭を頭打ちに減少傾向にあります。

犬の飼養頭数と猫の飼養頭数の推移グラフ
参考:一般社団法人ペットフード協会 2022年全国犬猫飼育実態調査

一方、1頭当たりにかける支出額は増加傾向にあり、そのことから高度な医療に対する飼い主のニーズが高まっていることがわかります。

ペット関連支出の推移のグラフ
出典:総務省「家計調査」より

そのため、今後は多数の獣医師が従事する法人経営の病院と小規模な個人病院の二極化が進むと言われています。

この町医者の役割をする小規模な病院と二次診療施設に該当する大規模な病院の連携が重要となり、専門医の需要もより高くなることが想定されます。

しかし専門医制度は未だに整備されておらず、現在の認定医・専門医は獣医師で組織する各団体が出しているものに限られています。

専門医制度が整備され診療の分業化が進めば、全ての獣医師がジェネラリストとしての高いスキルを求められることがなくなるので、獣医師の負担軽減につながるのではないかと思います。

まめしば

ジェネラリストとして活躍したい人は小規模な病院へ、より専門的な知識を身につけたいという人は従業員数の多い大規模な病院へと方向性が別れ、それぞれが役割を分担すれば獣医師個人の負担は減るのではないかと思います。

問題解決には女性獣医師の働きやすさが鍵!

臨床獣医師の仕事は心身ともに過酷なため、女性獣医師にとって働きやすい場所とは言えません。

特に長時間拘束されたり、不規則な勤務体系が原因で結婚や出産を機に退職を決断をする女性獣医師はまだまだ多いのが現状です。

女性獣医師は40歳までに80%の人が臨床現場を辞めてしまうと言われています。(参考:Veterinario

私は次の4点において女性獣医師の働きやすさが問題解決の鍵になると思っています。

  • 獣医事審議会の掲げる「女性獣医師が活躍する職場は、男性獣医師を含む全ての獣医師が活躍できる職場である」という理念
  • 女性獣医師が過半数を占める予測
  • 動物病院のスタッフは大多数が女性(受付、看護師、トリマーなど)
  • 女性獣医師の適職性(コミュニケーション能力の高さ、きめ細やかさ、協調性)

結婚・出産・育児などのライフイベントで離職した女性獣医師に対する復職支援や専門医制度の充実により、多様な働き方がもっと認知されるようになれば、女性獣医師にとってより働きやすくなると思っています。

まめしば

女性獣医師の離職が減ることで、より獣医業界、動物業界の発展につながると私は考えています。

辛いと感じた時はどうすればいい?

獣医業界が抱える問題はわかったけど、
今現在辛い状況なのはどうしたらいいの?

獣医業界が抱える課題が解消する方向へ向かえば、上記したような長時間労働やお給料が労働に見合わないといった問題で悩む人は減るのではないかと期待しています。

しかしそれは、きっとずっと先の話・・・

そこで、辛い状況を解消するためのポイントを3ステップで解説したいと思います。

  • ライフキャリアの設定をする
  • 辛いと感じていることを具体的に把握する
  • 問題を解消するための手段を考える

STEP①:ライフキャリアについて考える

先ず初めに、ライフキャリアについて考えてみましょう。

ライフキャリアとは?

仕事だけではなく家事や子育て、趣味、地域の人との関わりなどプライベートな活動を含めた全てにおいて、果たす役割や経験の積み重ねのこと

仕事のキャリアについて考えても、人生のキャリアについて考える人はそれほど多くないのではないでしょうか。

しかし人生は仕事だけで成り立っているわけではありません。

仕事で成果を残せても、家族、パートナー、友人、趣味などプライベートなことが犠牲になってしまっていたら、充実した人生とはいえません。

仕事だけではなく、ライフイベントや友人との関わり、趣味を介した活動について人生を俯瞰してキャリアを設定し、それを軸とすることで今自分に必要なことが明確になります。

今現在辛いと感じていることは、将来こうありたいという自分像、実現したい未来に必要なことか、その軸を基準に判断できるようになります。

まめしば

専門医の需要が高まるとの予測もあるので、興味のある分野を掘り下げて学ぶ機会を設けるのも一つの選択肢です。

STEP②:辛いと感じていることを具体的に把握する

次に、今実際に「辛い」と感じていることを具体的に把握しましょう。

まめしば

頭の中で考えるよりも、実際に書き出して視覚化するのがおすすめです。
紙を用意するのが面倒であれば、PCやスマホのメモ機能を利用してもいいと思います!

毎日、出勤しても診察をてきぱきこなすことができず、診断にも自信がもてない・・・

看護師さんには頼りにしてもらえないし、もっと勉強しなければと思ってはいても、毎日の時間外勤務を終えて帰宅すると疲れて頭が働かない・・・

そんな辛さを抱えていたとしたら、

  • 診察をてきぱきこなせない ⇒ 経験、勉強不足
  • 診断に自信がもてない ⇒ 勉強不足
  • 看護師さんに頼りにされない ⇒ 診療のやり方、すすめ方をブラッシュアップ、コミュニケーションを見直す                                 
  • 疲れて勉強時間が確保できない ⇒ 解決すべき問題

このように状況を整理し、具体的に何が問題なのかを把握するようにしましょう。

STEP③:問題を解消するための手段を考える

最後に、具体化した問題の解消法について考えます。

上記の例の場合、問題はタイムマネジメントです。

「○時までに帰宅できたら1時間勉強する」

「毎週○時間だけ勉強時間にあてる」

というように、自分の中でルール作りをしておくと効果的です。

1週間の過ごし方を書き出して、無駄な時間を過ごしていないかチェックすることも有効です。

ただし、ライフキャリアについて考えたら、今の職場にいることが将来につながらないことがわかった、今の状況だと実現したい未来と方向性が全く違うということがわかったら、環境を変えることも検討しましょう。

今の職場で働き続けてプラスなのかマイナスなのかわからない、と迷う場合は転職はおすすめしません

どちらがいいのか判断できない場合は、働き続けることで自分の望む方向に向かっているのかどうかがわかるようになるので、モヤモヤした状態での勇み足には注意しましょう。

まとめ

今回は、獣医業界の抱える課題と仕事が辛いと感じた時の対処法について解説しました。

獣医業界の抱える

  • 女性獣医師の復職支援の不足
  • 動物病院の市場規模縮小の可能性
  • 専門医制度の未整備  

という課題が解消する方向に向かうと、男女問わず獣医師にとってより働きやすい環境が実現すると感じています。

長時間勤務、閉鎖的な空間、密な人間関係、トップダウンの経営・・・まだまだ獣医師にとっては「辛い」と感じてしまう要因が多いですが、常に目の前の問題に対してどうすればいいのかを考え続けることが大切なのではないかと思っています。

まめしば

獣医師を含め、獣医療従事者が少しでも働きやすい環境が整い、動物医療が発展することを願って止みません。

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好条件の転職先を見つけた勤務獣医師に、注意喚起する獣医師

この記事を書いた人

動物病院と公務員で3回の転職を経験。
動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。2児の母。

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