動物病院では結婚や出産を機に退職してしまうケースがよくみられます。
主な退職理由は、
- 激務かつ不規則な生活なので続けることが難しい
- そもそも産休・育休を取れないので続けられない
の2パターンあります。

産休・育休取れないなんてあるの?!
一般企業に勤めている人からしたら信じられない話かもしれませんが、個人病院ではよくあります。
今回の記事では、結婚しても動物病院で獣医師を続けていくために必要なことについて解説します。
結婚する前の準備が重要なので、結婚を考えている人、結婚や出産後も獣医師として働き続けたい人はぜひ参考にしてみてください!
- 結婚や出産後も動物病院勤務を続ける方法
- 結婚や出産後も動物病院勤務を続けるために必要なこと



昔より待遇面が見直され、福利厚生が整っている病院も増えてきているようです。
結婚後のことを考えて、復職しやすいよう環境を整えておくことも選択肢の一つです。


- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
結婚や出産後も動物病院勤務を続ける方法は?


最近は動物病院業界もコンプライアンス意識が高まりつつあり、結婚をしたからといって退職を余儀なくされることは少ないかもしれません。
それでも将来子供を持つことを考えると、今までと同じように働くことは難しくなります。
行く行くのことを考えて結婚を機に退職の選択肢をしてしまう人は、まだまだ多いのではないでしょうか。



産休・育休をとるのがその病院で初めての例だったので、病院側もどうしていいかわからないみたいだった、という話を友人から聞いたこともあります。
ここでは、結婚や出産後も動物病院勤務を続けるための方法をご紹介したいと思います。
方法①:開業する
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるための方法の1つ目は、開業するです。
獣医師同士の結婚で最もよくみられる例です。
夫婦で開業すれば、どちらかが育児をしてどちらかが病院に出るという臨機応変な対応が可能です。
また自分自身(またはパートナー)が経営者であれば、育児に手がかかる期間は重症な症例を他院に回したり、残業をせずに病院を閉めることができます。
私の先輩も第2子妊娠中は、旦那さんが主に病院に出て、先輩自身は避妊去勢手術だけやっていたそうです。



時々手術しないと感覚を忘れちゃいそうだからと言っていました
ただ夫婦で開業するデメリットも存在します。
- 仕事でも家庭でも一日中顔を合わせていないといけないので息が詰まる
- 診療方針を巡ってケンカに発展しやすい
方法②:勤務形態を選ぶ
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるための方法の2つ目は、勤務形態を選ぶです。
結婚や出産後はパートや時短勤務という形態で働く方法もあります。
結婚や出産後も動物病院勤務を続ける人が選ぶ方法として最も多いのではないでしょうか。
転職エージェントを利用した時に聞いた話では、パートとしての勤務を希望する人は臨床へ転職する人全体の3~4割になるそうです。



その中でも女性、しかも結婚や出産経験者に限定するとかなり高い割合になるのではないでしょうか。
パートや時短勤務のデメリットは、担当の患者さんをもつことが難しかったり、終業時間になってしまうと診ていた患者さんの処置を最後までできなかったりすることがあげられます。
病院の方針として患者さんを最後まで診なければならないと残業になってしまうこともあるかもしれません。
そういったことを避けるために、最初は予防専門の獣医師として復職する人もいます。
0.5次診療と呼ばれる予防専門の病院では、主な業務が簡単な身体検査とワクチン接種だけなので定時で退社することができます。



次の記事では、結婚後のキャリアパスの重要なポイントを解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてください!


方法③:福利厚生の整った企業病院へ転職
資金力のある企業病院では福利厚生も整備され、結婚や出産した後でも働きやすい環境が整っています。
人数の少ない個人病院では、産休や育休で長期間欠員が出ると病院が回らなくなってしまうリスクがあり、退職を余儀なくされてしまう可能性もあります。
一方、人数の多い企業病院では一時的に欠員が出ても他のスタッフでカバーすることができるので、産休や育休を経て復職することが可能です。
また、マンパワーがあるので時短勤務やパート勤務での復職も叶いやすいといえるでしょう。
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるために必要なこと


結婚や出産後も働き続けられる方法が見つかっても、結婚生活や育児では思いもよらないことの連続です。
ここでは動物病院勤務を続けるために必要なことを解説したいと思います。
必要なこと①:パートナーの理解
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるために必要なことの1つ目は、パートナーの理解です。
結婚後も正社員として同じように動物病院勤務を続けるのであれば特に、パートナーの理解が必要不可欠です。
一般企業で働く人から見たら動物病院業界は特殊です。
残業しても残業代が出なかったり、急きょ休日出勤しなければいけなくなったり、有休を実質使えなかったり、朝早く出勤しなければならないこともあれば帰宅が日をまたぐこともあります。
忙しい時は家の用事を済ませられなかったり、家事も疎かになってしまいますよね。
そんな時、パートナーがどこまで臨床獣医師の仕事を理解してくれているかは重要なポイントです。
どこまで家事を分担してくれるか、育児参加してくれるかが、動物病院勤務を続けられるかどうかを左右するといっても過言ではありません。



次の記事では、仕事をする上で大切なマインドについて解説しています。仕事だけではなく、普段生活する上でもとても重要なことなのでぜひ参考にしてください!


必要なこと②:家事・育児に協力者がいること
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるために必要なことの2つ目は、家事・育児に協力者がいることです。
パートナーは有力な協力者ですが、ここでの協力者は主に親やきょうだい、公的サービスのことを指します。
多忙な動物病院勤務では、出産後はパートナーの協力だけでは生活を回すことが難しいと感じることがあるでしょう。
出産後は実家の近くに住んで親に協力してもらいながら家事、育児、仕事のトリプルワークを頑張る人も多いですよね。
買い物に行く少しの間子供を見てもらったり、保育園のお迎えをしてもらったり、ちょっとした協力があると物理的な面だけではなく気持ちも随分楽になると思います。
時短勤務やパート勤務で復職するにしても、複数協力者がいると続けていくモチベーションにつながります。



私は親の協力がなかったので、保育園の先生としっかりコミュニケーションを取るよう心がけたり、もう無理だ―!という時はファミサポ制度を利用したりしていました。
必要なこと③:職場の理解
結婚や出産後も動物病院勤務を続けるために必要なことの3つ目は、職場の理解です。
時短勤務やパート勤務が可能な職場でも、子育てにはイレギュラーなことが起こるのが当たり前という考えが浸透していないと、働きやすい環境ではないこともあります。
- 朝起きたら子供が発熱していた
- 保育園から連絡が入り、急きょ子供の迎えに行かないといけない
- 保育園のお迎えがあるので残業できない
上記のようなことは未就園児あるあるです。
嫌がらせか!?と思うほど子供は頻繁に熱を出します。(熱を出すたびに体は強くなっていってるんですけどね)
子育ての経験がない人からすると「また・・・」と眉をしかめられてしまうかもしれません。



実際、私は自分が独身のとき「そんなにしょっちゅう熱なんて出るの?」と思ったことがあります。(未熟者でした^^;)
勤務形態を選べる病院であっても、スタッフの年齢層、家庭状況、病院の雰囲気などを確認して、結婚や出産後も働きやすい職場なのかを見極めるようにしましょう。
自己分析をしてライフイベントに備える
パートナーが家事や育児に協力的なのか、住む場所(もしくは住んでいる場所)の近くに協力者がいるか、今働いている病院が結婚や出産後に柔軟な働き方ができるのかなどは、結婚する前にわかっていると安心ですよね。
結婚を考え始めたら、まずは将来のライフイベントについて考え、働き方を見直してみましょう。
育児や親の介護など、可能性のあるライフイベントについてあらかじめ考えておくことで、「こんなはずじゃなかった…」「もう獣医の仕事はできない…」とキャリアを断念するのを防ぐことができます。
そのためには、まずしっかりと自己分析をし、自分が仕事に求めるものやライフイベントをとおしてどんな働き方をしたいのかについて、自分自身の望むことを理解しておくことが重要です。



次の記事では、自己分析をするメリットやポイントについて解説しているので、ぜひ参考にしてください!


まとめ
今回は、結婚しても動物病院で獣医師を続けていくための方法や必要なことについて解説しました。
不安にならないためには、あらかじめ想定されるライフイベントについて考えておく必要があります。
そして、自分自身が望むことを理解していることで、その都度自分に合った働き方や、やりたい仕事を選ぶことができます。
結婚や育児だけではなく、マイホームの購入や親の介護など、ライフイベントは女性だけのものではありません。
仕事と家庭の両立を目指す獣医師にとって、この記事が参考になれば幸いです ^^
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