「院長がワンマンで、怒られないかビクビクしながら働いています」
「保定が上手くできないとベテラン看護師さんにため息をつかれたり無視されたりします」
「看護師さんに仕事をお願いしても都合のいい言い訳をしてやってもらえず、結局仕事を抱えてしまいます」
インターネット上では、上記のような動物病院の人間関係のお悩みをたくさん見かけます。
実際、動物病院で働く人が退職する理由で最も多いのが人間関係です。
人間関係が理由の場合、正直に退職理由を告げる人は
少ないと思いますが ^^;
なぜかというと、動物病院は一般企業と比べて、次のような理由で人間関係がこじれやすい環境にあるからです。
- 閉鎖的な空間
- 少人数のため、各人に対してのコミュニケーションのウエイトが多め
- 管理体制がしっかりしていない(特に個人病院)
私も過去に1度、人間関係が理由で転職をした経験があります。。。
詳しくはプロフィール記事をご覧ください。
今回の記事では、実際に動物病院で働く上で人間関係のトラブルを抱えないためにはどんなことに注意すればいいのか、もしトラブルを抱えてしまったらどうしたらいいのかについて解説したいと思います。
- 動物病院で起こりやすい人間関係のトラブル
- 人間関係でトラブルにならないために注意すること
- 人間関係でトラブルになってしまった時の対処法
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
動物病院で起こりやすい人間関係トラブル
動物病院の人間関係は、院長、同僚獣医師、看護師、トリマー、受付という5つの立場から構成されています。
病院によっては、看護師兼トリマーという働き方をしていたり、看護師さんが受付業務を担当している場合も多いと思います。
ここでは、最も密に関わる院長、同僚獣医師、看護師さんとの間で起こりやすい人間関係のトラブルについて紹介したいと思います。
トラブル①:院長
動物病院で起こりやすい人間関係のトラブルの1つ目は、院長に対してです。
院長に対して不満を抱いたり、暴言などのパワハラを受けたり、最も多いのが院長との間のトラブルです。
一般企業では、通常社長(経営者)と関わる機会はそれほど多くありません。
それは、実務ではなく経営と管理が社長の仕事だからです。
しかし動物病院(特に個人病院)では、院長(経営者)は他の獣医師と同様に実務についていることがほとんどで、毎日のように顔を合わせ一緒に仕事をします。
一方、一緒に仕事をしているけれど、院長と勤務医の視点は同じではありません。
院長は実務に携わりながら経営者の視点でものを見ています。
患者さんに質の高い治療を受けてもらいたい、飼い主さんの気持ちに寄り添いたいという気持ちは共通していても、その中で削れるところは削り、より多くの利益を出さなければいけないからです。
院長の視点 | 勤務獣医師の視点 |
---|---|
・経費を抑える ・利益を上げる(手術、診察件数を増やす) ・病院のイメージ | ・働きやすい環境 ・質の高い治療(高性能の消耗品、良い薬など) ・時間をかけた丁寧な診療 |
そのため、スタッフが思うように動いてくれなかったり、オーバーワークになるとイライラして感情的になるパターンはよく見られます。
トラブル②:動物看護師
動物病院で起こりやすい人間関係のトラブルの2つ目は、動物看護師に対してです。
ベテランの看護師さんと新人獣医師の、その病院における知識量の差は新人獣医師<<<ベテラン看護師さんです。
大学で多少の知識と手技を学んでいたとしても、診療方針は病院により様々で、その病院のやり方を踏襲しなければいけません。
そうなると、その病院のやり方という点において知識量は勤務年数に比例します。
働き始めたばかりで病院のことが何もわかっていない新人獣医師は、看護師さんを始め先輩に教えてもらいながら診療の腕を磨くしかありません。
教えてもらう立場でありながら獣医師だからと虚勢を張ったり、逆に「これは獣医師の仕事じゃないから」といつまでも雑務を覚えようとしないと看護師さんの心象が悪くなり、トラブルに発展しやすくなります。
特に新人の頃は、院内のどんな業務も覚えようとする姿勢が大切です。
そうすると、困った時や忙しい時に、今度は看護師さんが手を貸してくれるようになります。
トラブル③:同僚獣医師
動物病院で起こりやすい人間関係のトラブルの3つ目は、同僚獣医師に対してです。
獣医師同士のトラブルで最も多いのは、診療方針や勤務姿勢を巡ってのトラブルです。
私が以前勤務していた病院では、診療に対して考え方が明らかに違うタイプの先生がいました(A先生、B先生とします)。
A先生 | B先生 |
---|---|
・治療をとことんやり込みたいタイプ ・状態が良くなる可能性があるなら、難易度の高い治 療も積極的に飼い主さんに提案 ・その分勉強熱心 | ・選択肢を提案した上で、患者さん、飼い主さんの負担にならない範囲での治療をすすめる ・患者さん、飼い主さん両方のQOLを総合的に判断するタイプ |
それぞれ最善と思っている診療方針が違うので、A先生は時々B先生の判断に納得がいかず「どうしてそういう方針にしたんですか」と問い詰めている場面を何度か見かけたことがあります。
B先生の方が入職は先でしたが、物事をはっきりさせたい性格のA先生を苦手としているのは周囲から見ても明らかでした。
B先生はA先生に対して程よい距離を置いていたし、苦手なタイプだったかもしれませんが2人に険悪な感じはありませんでした。
この場合、B先生の方が入職が先だったことと、大人な対応ができていたのでトラブルというほどのことにはならなかったと思っています。
また、私の同級生の例ですが、同じ病院に就職した二人が働く姿勢を巡って険悪になってしまったケースがあります。
大学時代はとても仲の良かった二人でしたが、一人は激務の病院勤務に疲れてしまい転職を決意。
もう一人は「辞めるなんて無責任だ」と相手を非難し、友人関係に亀裂が生じてしまいました。
聞いた話だけなので何とも言えませんが、引継ぎなどをしっかりすれば、辞めること自体無責任ということはないと思います。
仕事を辞める権利はきちんと法律でも定められています。
トラブル➃:部外者として
動物病院で起こりやすい人間関係のトラブルの4つ目は、部外者としてです。
自分が人間関係のトラブルに直接関わっていなくても周囲の人間関係が悪いと、間接的に嫌な思いをしたり、巻き込まれたりすることもよくあります。
人間関係でトラブルを起こしている双方から相手の悪口を聞かされたり、その悪口に対して同意を求められたりすることは、どこの組織でも聞く話ですよね。
突然、一方に仲間扱いされてもう一方から敵意を向けられるなんてことも・・・(泣)
そんな時は自分の立場を曖昧にせず、はっきりさせることが必要です。
次の記事では、人間関係を良好にするコツについて解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。
人間関係でトラブルにならないために注意すること
人間関係でトラブルを起こしやすい人は、思い込みが強い、言い訳が多い、否定的な発言ばかりする、というようにいくつか特徴があります。
劣等感が強かったり、自己肯定感が低いと自分を守るため周囲に対して攻撃的になったり、ミスを誰かのせいにしたり、トラブルの元になる行動をしてしまいがちです。
職場で人間関係のトラブルを抱えないためには、以下の2点について注意が必要です。
- 相手を否定せず、話を受け止める
- 可能な限り距離を置く
ここで注意したいことは、相手は自分の主張が正しい、自分の考え方が正義だと本気で思っているということです。
仕事のやり方や内容に関して間違ったことは訂正する必要はありますが、考え方については相手の意見を否定するとトラブルになる可能性がとても高いです。
なぜなら相手は数十年という長い時間その価値観で生きてきているので、昨日今日訂正したところで考え方が変わる可能性はかなり低いからです。
将来やりたいことや実現したいことがあって今頑張って働いているわけですから、不毛な議論に時間や労力をかけるのは無駄にしかなりません。
人間関係のトラブルを避けるためには、先ず「そう思ったんだね」「そういう考え方もあるんだね」と否定せずに相手の話を聞き、それでも衝突してしまう可能性があるなら、できる限り相手と距離を取ることが重要です。
人生は有限なので、仕事をする上でどこに時間と労力を割くかということはとても重要な考え方です。
なんとなく毎日仕事をしているという人は、先ずは自分自身のライフキャリアについて考えてみることをおすすめします。
次の記事では、ライフキャリアの設定について解説しているので、ぜひ合わせて読んでみてください!
人間関係でトラブルを抱えてしまったら・・・
トラブルにならないように注意していても、相手がしつこかったり、不可抗力で巻き込まれてしまうこともあると思います。
そんな時に注意したいことは、
- 素直に謝る
- 自分が先に引く
- 視野を広げる
ということです。
自分が間違っていたり相手に誤解を与えてしまっていたら、先ずは素直に謝ることが重要です。
それが例え相手の勘違いであったとしても、トラブルになりたくないという意志表示のために先ずは謝りましょう。
また、どうしても相手の意見や考えに納得できず険悪になってしまったら、自分が先に引くことも大切です。
「確かにそういう考えもあるかもしれない」と自分が引いた上で、自分はこう思った、というように自分の意見を添えるようにしましょう。
相手の意見に迎合するのではなく、自分の気持ちや意見を大切にすることも忘れないようにしましょう。
獣医師は大学に入学してから社会人になってからも獣医業界以外を知らないことがほとんどです。
そのため友人関係(同業者以外)や趣味、セミナーなど様々なコミュニティに参加したり、読書で多くの人の考えに触れることで視野を広げることが重要です。
知見を得て視野が広がると人間関係の問題点が見えるようになります。
そうすると、どうにもならない重大な問題だと思っていたことが実際には取るに足らないことだと気づいたり、問題に対する具体的な解決策を思いつくことができます。
次の記事では、視野を広げることが大切だと感じた私の実体験を紹介しています。ぜひ参考に読んでみてください。
距離を置いても相手がしつこかったり、悪意のある嫌がらせを受けたり、もしかしたら上記の方法を試しても改善しないこともあるかもしれません。
そんな時は、上司(院長)に相談するタイミングです。
上司(院長)に相談しても解決しない、話を聞いてもらえない、適切な判断をしてもらえないという状況ならば、転職を選択肢の一つとして考えるのも方法です。
上記したように、仕事に支障が出てしまったら叶えたい未来を実現することができなくなってしまいます。
状況が変わらないのであれば環境を変えるしか方法はありません。
自分に与えられた時間をどこに、どういうことに使うのかをよく考えてみましょう。
次の記事は、私が転職エージェントのVet Agentを実際に利用してみた感想です。
転職エージェントを上手く利用することで、ストレスを最小限に転職の成功率をアップさせることができます!
まとめ
今回は、実際に動物病院で働く上で人間関係のトラブルを抱えないためにはどんなことに注意すればいいのか、もしトラブルを抱えてしまったらどうしたらいいのかについて解説しました。
動物病院はただでさえ閉鎖的な空間なので、人間関係のトラブルを抱えないためには相手と協調する意識がとても大切です。
相手を否定しない、相手の話をよく聞く、間違えたら素直に謝るということを頭の隅に置いておきましょう。
今回の記事を参考に、人間関係のトラブルを抱えずに叶えたい未来を実現できるよう、仕事に集中できる環境を整えましょう。
コメント