病院で働き始めてまだ2ヶ月だけど、もう辞めたい・・・
5月病という言葉があるように、新しい環境に置かれると心身の疲れからストレスを感じやすいですよね。
特に動物病院はワクチン接種やフィラリア予防などが重なり、4月から6月にかけて繁忙期を迎えます。
就職してまだ右も左もわからないのに戦力として期待され、教えてもらうにも周りは忙しそうで聞きにくい。
忙しさからみんなピリピリしているから間違えると余計怒られる・・・
働き始めて2ヶ月目は、一つのボーダーラインです。
よほど自己肯定感の高い人でなければ、自信をなくし辞めたいと思う瞬間があるのは自然なことだと思います。
事前に、新人が入ることを見越した教育プログラムが組まれていることが理想ですよね。
今回は、動物病院を働き始めて2ヶ月で辞めるデメリットと、それでも無理して働き続けなくてもいい理由について解説します。
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
とりあえず3年働けと言われる理由
とりあえず3年は続けた方がいい、という言葉を耳にしたり、実際に周りの人から言われたことがある人もいるかもしれません。
3年働くとひと通りの仕事を経験し、ある程度の知識とスキルが身につくと言われていますが、深く意味を考えずに「とりあえず3年」を使っている人もいるので、なんだか日本の文化みたいになっていますよね^^;
ここでは、とりあえず3年働けと言われる理由をあえてあげ、2ヶ月という短期間で辞めるデメリットを解説します。
理由①:やりがいや楽しさに気づく
とりあえず3年働けと言われる理由の1つ目は、やりがいや楽しさに気づくです。
私が就職した当初言われたのは、
一年目は学ばせてもらい
二年目は病院の戦力になり
三年目は恩返し
と言われました。
一年目は仕事内容を覚え、二年目は失敗などをしながら学び、三年目は一人で仕事ができるようになり面白さややりがいに気づく、などと言われることもあるようです。
働き始めたばかりの一年目は、雑用も含め覚えることが多く仕事の楽しさややりがいを感じる余裕はないのではないでしょうか。
病院にもよると思いますが、仕事を覚えるまでの最初の数カ月は診察に出してもらえないことが多く、雑用や検査など補助的な業務ばかりで面白みがないと感じる人も多いと思います。
しかし仕事を続けることで、周囲からの信用を積み上げ任される仕事が増えてくると、診察に出る回数や担当の患者さんの数、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる瞬間が増えていきます。
臨床獣医師の1年目は様々な葛藤を抱えがちです。
仕事に慣れていないこともあり、「獣医師に向いていないのかも・・・」と自信をなくしてしまう人もいると思います。
次の記事では、自信をなくしてしまった時の対処法について解説しているので、ぜひ参考にしてください!
理由②:教育コストを回収するため
とりあえず3年働けと言われる理由の2つ目は、教育コストを回収するためです。
新人一人が加わると、教育面で様々なコストがかかります。
仕事のやり方を教えるのにスタッフは時間と労力を費やし、仕事を覚えるまでは支払われるお給料に相当する活躍ができないことも考えられます。
また、新人なので採血、留置、検査、処置など、様々な点でミスが多く備品を余計に消費してしまうこともあるでしょう。
病院によってはセミナー参加費用を負担しているケースもあります。
一般企業では、新人の教育コストは平均3万~4万円ほどという調査結果が出ています。(参考:産労総合研究所)
私が最初に就職した動物病院は一つ上の先輩が新人の教育係を務める方針で、月に一回マンツーマンで勉強会を設けてくれていました。
勉強会がある日は退勤した後、近くのファミレスで遅い夕食をとりながら先輩が講義をしてくれていたのですが、その夕食代は病院が負担してくれていました。
理由③:病院側のイメージを落とさないため
とりあえず3年働けと言われる理由の3つ目は、病院側のイメージを落とさないためです。
これは完全に雇用する側のことを考えた理由ですが、やはりスタッフの入れ替わりが頻繁にある病院は働く側にとっても、飼い主さんから見てもイメージは良くありません。
働く側としても、「スタッフの入れ替わりが頻繁にある=何か辞めたい理由がある」ととらえますし、飼い主さんからしても担当の獣医師が頻繁に変わると、また一から信頼関係を築く必要が出てきてしまいます。
さらに、新しく担当になった獣医師と反りが合わないと「前の先生の方がよかった…」と、ネガティブな印象を持たれるリスクもあります。
理由➃:転職に有利
とりあえず3年働けと言われる理由の4つ目は、転職に有利です。
アメリカを始め多くの欧米諸国では実績や能力が求められる実力主義で、キャリアアップやより良い待遇を求めて転職をすることが一般的です。
一方、日本は長い間年功序列、終身雇用が一般的で、一つの会社で長く勤めていれば良い待遇が期待でき、それが誠実で安定した働き方という価値観があります。
そのため、複数回目の転職時は特に、短期間で離職していることをネガティブにとらえられることもあります。
それでも、今は昔に比べて転職のハードルは低くなってきています。
転職は働いていた期間や回数ではなく、いかにポジティブに転職するかが重要です。
詳しくは次の記事で解説しているので、合わせて読んでみてください!
2ヶ月で辞めるのは悪いこと?
3年働き続けた方がいいとされる理由をあげ、短期間で辞めるデメリットを解説しましたが、決して3年働かなければいけないわけではありません。
なかには、むしろ働き続けることで心身に悪影響を及ぼしたり、かえって辞めにくくなってしまうなど仕事を続けるリスクも存在します。
- 度を超えた長時間労働、ハラスメントがある場合、心身に悪影響を及ぼす
- 第二新卒ではなくなるので、就職先が限られてしまう
- 多くの患者さんを担当したり、責任のある仕事を任されるようになり辞めにくくなる
昔に比べ今は終身雇用という価値観が薄れ、転職をする人も増えてきています。
副業を解禁する企業も増え、会社に保障を期待するのではなく自分のキャリアや人生の責任は自分で負うという風潮が強くなってきていますよね。
また、今の場所で働き続けることで得られるメリットがないのであれば、働き続けることは時間の無駄になってしまうことも考えられます。
一度、自分が獣医師としてどういう働き方をしたいのか、将来どう在りたいのかについて考えてみることをおすすめします。
なんとなくその時の気分で行先を決めるより、ゴールを決めて逆算して今やるべきことを導き出した方が仕事に対するモチベーションも上がり、結果的に近道です。
「すぐに辞めるのは良くない」という固定観念を払拭すると選択肢が広がり、自分のやりたいことが見えてくるかもしれません。
次の記事では、理想の未来を実現するために欠かせない逆算思考について解説しているので、是非合わせて読んでみてください!
転職を一概に悪いものだと考えるのは、努力や勇気を放棄した人の考えです。
確かに、衝動的な転職は高い確率で失敗してしまいますが、正しいプロセスで転職をすることは自分の人生に対しての前向きな判断だと私は思っています。
転職の正しいプロセスとは?
転職を成功させるためには、詳細な自己分析と情報収集、マインドセットがとても重要です。
そのため、そういった事前準備ができていない状態で転職に踏み切ってしまうと、転職失敗につながるリスクがあるので注意が必要です。
転職に必要な事前準備
- 自己分析 転職の軸(仕事に求めるもの)を決め、自分の経験やスキル、思考や行動、価値観に至るまで詳細に行い、自己理解を深めることが重要です。
- 情報収集 求人情報や募集要項などに記載されている情報はもちろん、表面化されない情報(人間関係、職場の雰囲気)をより多く集めることが重要です。また、効率的な情報収集は、転職活動のモチベーション維持につながり、転職の成功率アップにつながります。
- マインドセット マインドセットの状態は、仕事に対する姿勢や周囲との関わりに大きな影響を及ぼします。そのため、転職を成功させるためにはポジティブなマインドセットが必要です。
情報収集に時間がかかってしまうと、転職活動のモチベーションが落ち、妥協した選択をしてしまうことになるため注意してください。
情報収集を効率的に行うためには、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは非公開求人情報を保有しているだけではなく、病院や企業とのコネクションがあるため、職場の雰囲気や院長の人柄など、表面化されない情報を保有しています。
また、スキルや適性を客観的に判断してくれるため、自分の市場価値の把握や自己理解を深めることもできます。
しかも無料です ^^
転職サイトなどからの情報収集と並行して利用することで、情報収集の精度を上げることができます!
次の記事では、私が実際に転職エージェントを利用した体験について解説しています。
情報収集の精度を上げたい人は、ぜひ参考にしてください!
まとめ
今回は、動物病院を働き始めて2ヶ月で辞めるデメリットと、それでも無理して働き続けなくてもいい理由について解説しました。
確かに短期間で辞めてしまうデメリットも存在しますが、今の場所で得られるものがないとはっきりわかっている状態で仕事を続けることは時間の無駄になる可能性もあります。
仕事を辞めたいのは忙しくて心身が疲れているせいなのか、それとも今の仕事と理想とする将来像にミスマッチが生じているせいなのか、一度立ち止まってよく考えてみてください。
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