病院が社会保険に入っていないから将来が心配
もっとスキルアップしたいけど、仕事休んでセミナー行きにくいんだよな
病院の福利厚生が整備されていないことから、将来に不安を感じている獣医師の方もいるのではないでしょうか。
福利厚生の充実は、生活の安定やワークライフバランスを向上させる役割があり、仕事に対するモチベーションにも繋がるため、とても重要です。
この記事では、動物病院の福利厚生を確認する時のチェックポイントと、福利厚生が充実している病院を見つける方法について解説します。
この記事を読むと、福利厚生が充実している病院を見つける方法や、福利厚生について最低限チェックしておくべきことがわかります。
職場の福利厚生に不満がある獣医師や、転職を検討している獣医師の方は、ぜひ参考にしてください!
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
福利厚生とは?
福利厚生とは、企業が従業員に対して提供する賃金以外の様々なサービスや支援制度のことを指します。
福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生があります。
法定福利厚生は法律により導入が義務付けられている制度で、法定外福利厚生は病院や企業が独自に設けた福利厚生制度です。
法定福利厚生 | 法定外福利厚生 | |
---|---|---|
※1 | 社会保険健康保険 厚生年金保険 介護保険 子供・子育て拠出金 | 住宅手当 通勤手当 資格取得手当 セミナー補助 リフレッシュ休暇・特別休暇 育児・介護支援 社員旅行 など |
※2 | 労働保険雇用保険 労災保険 |
※1 法人および5人以上の従業員がいる個人事業主は原則加入が義務
※2 1人でも労働者を雇用している場合原則加 入が義務
法定福利厚生は法律で加入が義務付けられていますが、パートタイム労働者の加入は一定の要件を満たす必要があります。
詳しくはこちらを参考にして下さい。
法定福利厚生の詳しい内容はこちら
法定福利厚生 | 内容 | 加入条件 |
健康保険 | 生活の安定を目的に、社員やその家族が病気やけが、出産、亡くなったときなどに、医療給付や手当金の支給をする制度。 保険料は雇用主と労働者で折半して負担。 | 参照:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト |
厚生年金保険 | 従業員やその家族の、老後の生活を支えるための公的年金の一種。 健康保険と同様に、労働者と雇用主が折半で年金保険料を負担し、労働者が65歳以上になったときに、国民保険に上乗せされて支給される。 | |
子供・子育て拠出金 | 子育て支援、児童手当の支給に要する費用等の一部に充てるために事業主から徴収する税金。 一般拠出金と同様、従業員の負担はなく、全額が事業主負担。 | |
介護保険 | 家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えるための保険制度。 皆で保険料を負担して、必要な人に給付する仕組み。 | 40~65歳未満の健保加入者 |
雇用保険 | 労働者が失業した場合、生活の安定と就職の促進のための給付を行う制度。 | ・31日以上の雇用見込みがある ・所定労働時間が1週間あたり20時間以上 |
労災保険 | 被災労働者の社会復帰の促進などの目的で、業務上または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行う制度。 | 全ての従業員 |
福利厚生は、従業員の生活の質を向上させ、仕事に対する満足度やモチベーションを高めるために重要で、企業にとっても優秀な人材を確保し、離職率を低く抑える効果があります。
また逆に、福利厚生がしっかりしている病院や企業は経営が安定していることが多く、長期的に働ける環境が整っている可能性が高いため、福利厚生の充実度は病院選びの重要なポイントと言えます。
動物病院の福利厚生の現状
近年では、人材確保のために福利厚生を導入する動物病院も増えてきています。
私が以前勤務していた病院も、労働保険と社会保険(健康保険・厚生年金)がいずれも導入されていました。
理由はどうあれ、福利厚生があるのが当たり前になるのは嬉しいことですよね ^^
以下は、よく見られる法定外福利厚生の例です。
- 交通費補助
- 住宅手当
- 診察料やフード代の割引、または補助
- インフルエンザ予防接種費用の補助
- セミナー費用の補助
また、大手の病院では、以下のような制度を設けて福利厚生に力を入れている病院もあります。
- 院内飲料の無料提供
- 食事補助
- 育児支援(育児休業、時短勤務の採用)
- 退職金
- 慶弔金
- 企業型確定拠出年金
- 大学への研修制度
しかし、一般企業と比較すると、まだ未整備な病院の割合も多いのが現状です。
特に中小規模の病院では、財政的な理由や院長(経営者)のコンプライアンス不足から、福利厚生が導入されていなかったり、法定福利厚生で手一杯という病院が多い印象です。
また逆に、大手の動物病院では福利厚生が充実していても、多忙なため実際に利用できる状況ではなく、形骸化しているケースもあるようです。
そのため、病院を選ぶ際には福利厚生の内容と合わせて、実際の活用状況も確認することが重要です。
福利厚生が実際に整備されていても、活用できないと意味がないですよね。
特に法定外福利厚生は申請しないと使えないものもあるので、実習時に活用状況をスタッフに聞いてみるといいと思います!
転職時に重視すべき福利厚生のチェックポイント
ここでは、転職時に最低限確認しておくべき福利厚生について解説します。
- 法定福利厚生の有無 法律で義務付けられているため、法定福利厚生があることは最低ラインです。 法定福利厚生が導入されていない病院は、経営者のコンプライアンス意識が低い可能性があるので要注意です。
- 従業員の満足度 法定外福利厚生の内容については、従業員のニーズに合致しているかも重要なポイントです。 ニーズの低い福利厚生の場合、従業員はメリットを享受できないため満足度も低くなってしまいます。
- 実際の利用状況 福利厚生が整備されていても、利用できなければ恩恵を受けられません。 利用しにくい環境ではないか、申請に条件などがないか、実際の利用状況を確認することが重要です。
- 賃金報酬の表記 福利厚生として導入されている手当が、賃金報酬に含まれて表記されているケースがよく見られます。 「月給」「給与」といった表記の場合は、基本給に手当や固定残業代が含まれていることが多いので、注意が必要です。
法定外福利厚生については内容だけではなく、自分のライフスタイルに当てはめて判断することも大切です。
例えば、福利厚生で食事の補助があっても、月の残業時間が80時間を超えるような状況では、総合的な満足度は低い可能性が高いですよね。
育児支援も、多忙な労働環境ではメリットを感じにくかもしれません。
また、法定外福利厚生の充実度を重視しすぎて、病院の方針や院長のビジョンに共感できるか、自分のやりたいことができるか、という本来の目的を見失わないように注意しましょう。
福利厚生が充実している病院を見つける方法
福利厚生のメリットを享受するためには、あらかじめ福利厚生が整備されている病院について情報収集する必要があります。
院長にかけ合って、福利厚生の導入をお願いすることもできると思いますが、ちょっとハードルが高そうですよね ^^;
福利厚生が充実している病院を見つけるには、以下のような方法があげられます。
福利厚生が充実している病院を見つける方法
- 病院HP 導入している福利厚生については、病院のHPの採用情報や募集要項の欄に記載があります。 大手の病院や福利厚生に力を入れている病院では、スタッフのコメントや利用状況を載せていることもあります。
- 転職サイト 福利厚生の内容だけではなく、手当の上限額や賞与の実績など、病院HPより詳細に記載されていることがあるので要チェックです。(参考:獣医師におすすめの転職サイト)
- 転職エージェント 転職エージェントを通して、病院HPや転職サイトに記載されていない内容を確認してもらえたり、非公開の情報を得ることができます。 また、雇用条件について、代行して病院と交渉してくれるメリットもあります。(参考:獣医師におすすめの転職エージェント)
- 口コミサイト 実際に働いていたスタッフの口コミから、福利厚生の利用状況についてわかることもあります。 ただ、口コミサイトの投稿はネガティブな意見に偏りがちなので、あくまでも参考程度に留めておきましょう。(参考:獣医師が利用できる口コミサイト)
福利厚生も含め、転職時には様々なツールを使って情報収集することがとても重要です。
そして、実際に実習に行き、福利厚生の利用状況や従業員満足度について確認するようにしましょう。
情報収集が不十分だと、高確率で転職の失敗につながってしまうので注意してください。
まとめ
今回は、福利厚生が充実している病院を見つける方法や、福利厚生で最低限チェックしておくべきことについて解説しました。
心身を健全に保ち、質の高い仕事をするためには、ワークライフバランスを向上させることが重要です。
そして、ワークライフバランスの向上には、適切な福利厚生が必要です。
転職を検討している獣医師の方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください!
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