残業が少ないから転職先に決めたのに、夜間の電話当番があるなんて・・・
実は休日はシフト制だった、ボーナスが出るのは2年目からだった・・・など、転職してから初めて「そんな条件だったの?!」と知ることも少なくないのではないでしょうか。
求人票に掲載する条件はあくまでも「見込み」で全てが適用されるわけではないため、求人票に書かれていることは必ずしも正しいとは限りません。
また、募集をかけている病院や企業は多くの人を集め、その中から優秀な人材を採用したいと考えています。
そのため、HPには嘘は書かれていませんが、都合の悪いことをあえて書くこともしません。
以上のことより、転職の成否はいかに多くの情報を集められるかが分かれ道になると言えます。
この記事では、転職を考えている人に向けて以下の2つを解説します。
- 情報収集の方法
- 情報収集でおさえておきたいポイント
- 効率の良い情報収集のやり方
この記事を読むと、どのように情報収集をしたらいいのか、その中でもどの方法を使ったら効率が良いのかがわかります。
転職を検討しているけどなかなか一歩が踏み出せない・・・と言う人はぜひ参考にしてください!
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
転職活動での情報収集は必要不可欠!
転職活動において情報収集はとても重要です。
その理由の一つは、他との比較検討やリサーチが不十分なことが転職失敗の原因だと感じている人が最も多いという調査結果があるからです。
30代で転職を経験した203人に「転職理由や転職で失敗したこと」についてアンケート調査を行ったところ、次のような結果が出ています。
そして、なぜリサーチ不足に陥ってしまうのかというと、上記したように求人票やHPに書かれていることが全てではないからなのです。
求人票やHPに書かれていない情報を自分で集める努力をしないと
高確率で「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔することになります。
私自身、1回目の転職はリサーチ不足で失敗したと感じています。
私は新卒で入職した1つ目の病院が、何事も先に在籍している先生がスキルを獲得しないと下に順番が回ってこない方針の病院でした。
手術はもちろん、エコーなどの医療機器も、練習であっても触ることは許されませんでした。
1回目の転職は、スキルアップを目的としていたので、何よりも「経験を積ませてもらえるか」という点を重視していました。
採用にあたっての面接では、昇給や有休消化率、残業代についてはっきりと口に出して確認することができず、
「週休2日もらえるし・・・」
「1つ目の病院みたいに夜間電話当番はないし・・・」
と自分に都合の良い情報ばかりを集めて、最も重視している点(経験を積ませてもらえるか)がクリアされているのだからと自分を納得させて、転職を決断してしまいました。
ちなみに、このように自分に都合の良い情報ばかり集めて、都合が悪い情報を無視してしまうのは確証バイアスという心理現象だそうです(^^;
情報収集の方法は?
でも、求人票やHP以外にどうやって情報収集すればいいの?
ここでは、求人票やHPの採用案内以外の情報収集の方法について解説します。
方法①:HP
1つ目の方法は、HPからの情報収集です。
HPといっても、チェックする箇所は採用案内だけではなく、病院の診療方針や院長のコメントです。
病院の診療方針や院長のコメントから、一次診療ながら高度医療の提供に努めているのか、予防医療に力を入れているのかなど、院長(経営者)の考えや方針を知ることができます。
また、従業員数や院内設備を見ることで、おおよその診療規模や来院数を知る手がかりにもなります。
病院によっては、院内イベントやスタッフのコメント、教育制度について記載されていることもあるので、HPの情報が全てではありませんが、参考になる情報もたくさんあるので必ずチェックするようにしましょう。
方法②:合同就職説明会
2つ目の方法は、合同就職説明会に参加して情報収集する方法です。
合同就職説明会とは、複数の病院が同じ会場で一斉に説明会を行うイベントです。
就活情報サイトや大学、獣医師会、JAHA(日本動物病院協会)、JAVS(日本獣医学生協会)など、様々な団体が合同就職説明会を開催しています。
多くの場合、開催は2月~5月にかけて行われます。
参加病院数は10~25程度で、Zoom等オンラインで行われる場合もあります。
無料で参加できるものもあれば有料のものもあったり、参加資格を学生に限定している場合もあるので、事前にしっかり確認するようにしましょう!
合同説明会のメリットは、一度に多くの病院の情報が得られることと、院長をはじめとする病院関係者に直接質問ができることです。
しかし、診療方針や待遇面などについて、聞きにくいことも直接質問する思い切りが必要です。
求人票に記載されていない点を直接質問できることが1つのメリットなので、聞きにくいことも割り切って質問できない人にとってはメリットは少ないかもしれません。
方法③:求人サイト
3つ目の方法は、求人サイトを利用した情報収集です。
求人サイトの情報は、各運営会社が病院や企業から直接入手した情報なので信頼性もあり、HPや求人票に記載されていないような細かい情報を得ることができます。
採用に力を入れている病院では、新人教育制度や年収モデルなど詳しい情報を記載しているケースもありますが、求人サイトではそれらはもちろん以下のような情報も得ることができます。(※病院によって記載のない項目もあります)
- 求める人物像
- 病院の強み、アピールポイント
- キャリア支援の有無
- 年間診療実績
- スタッフの平均年齢
また、採用情報だけではなく、転職のノウハウや転職後のキャリア形成についてのコラムも充実しているサイトもあるので、情報収集の目的で登録をしておくのがおすすめです。
方法➃:転職エージェント
4つ目の方法は、転職エージェントを利用した情報収集です。
転職エージェントとは、転職を検討している人と求人を出している企業や病院の間に立ってマッチングを行うことで、転職を支援するサービスのことです。
無料で利用できる上に、業界に精通したキャリアアドバイザーがマンツーマンでサポートしてくれます。
また、多くの転職者をサポートしてきた実績やノウハウがあるため、スキルを客観的に判断してくれたり、的確なアドバイスをもらうことができることも大きなメリットです。
自分に何ができるかは把握していても、そのスキルの市場価値って
なかなかわかりにくいですよね。
転職エージェントは一般には公開されていない非公開求人を多数保有しているだけではなく、様々な企業や病院と関係を持っているため、一人での転職活動ではなかなか知り得ない内部情報を教えてもらうことができるケースもあります。
結果的に転職をしなくても無料なので、情報収集の目的で登録をしておくことをおすすめします。
次の記事では、転職エージェントを利用するメリット・デメリット、転職エージェントとの付き合い方のポイントについて詳しく解説しているので、転職を検討している方はぜひ参考にしてください!
方法⑤:SNSやブログ
5つ目の方法は、SNSやブログを利用した情報収集です。
国内のX(旧Twitter)の月間利用者数は6745万人(引用:ITマーケンティング研究所)、ブログ人口は500万人以上とも言われています。
病院や企業の採用担当者がブログを開設していたり、SNSで発信しているケースは年々増えてきています。
SNSやブログでは、HPなどの公式な場ではなかなか書けないような採用担当者の本音やつぶやきを知ることができます。
また、コメント欄から気になる点や知りたいことを直接質問できる点は、利用する上で大きなメリットです。(必ずしも返信があるとは限りませんが)
注意点としては、SNS上で交流を持つと、あなた自身の投稿をチェックされる可能性があるので、気をつけましょう。
方法⑥:口コミサイト
6つ目の方法は、口コミサイトを利用した情報収集です。
病院の口コミサイトには、利用者側が投稿をする口コミサイトと元従業員が投稿する口コミサイトがあります。
転職での情報収集に利用したいのは、後者の元従業員が投稿する口コミサイトです。
転職先のリアルな状況を知るためには、そこで実際に働いていた人の口コミがとても参考になります。
獣医師が利用できる主な口コミサイトとしては、次の2つがあげられます。
ただ、どちらもレビューは企業病院が中心で、数もそれほど多くありません。
また、元従業員で口コミサイトに書き込みをする人は、前職で嫌な思いをしている人が多く、情報がネガティブに偏りがちなので、あくまでも参考程度に留めましょう。
情報収集で必ずおさえるポイント
情報収集でおさえておきたいポイントは、表面化していない情報をどれだけ集められるかです。
すでに解説した通り、HPや求人票には病院のアピールポイントや診療方針は書かれていても、有給消化率や月当たりの時間外労働がどれくらいになるのかなど、都合の悪い情報は書かれていません。
転職の失敗を避けるためには、そのような表面化していない、現場のリアルな情報が必要です。
そういった視点で見ると、あくまでも参考程度に留めておく必要はありますが、口コミサイトの情報にはリアリティがあると言えます。
また、転職エージェントから得た院内の雰囲気、院長の人柄、実際の勤務状況などの内情は、第三者の視点として客観性が保たれているため参考になる情報です。
ただ、どちらの情報も正確であったとしてもあなたが同じように感じるとは限りません。
その情報が本当に正しいのか、自分に合う職場なのかは実際に行ってみないとわかりません。
そのため、リアリティのある情報を集めた上で、実習に実際行ってみることがとても重要です。
実習期間も1日よりは複数日、できれば1週間程度行くと職場のリアルな状況が把握できると思います。
転職先に民間企業を考えている場合、インターンシップなどがあれば理想ですが、全ての企業であるわけではありません。
その場合は、やはりどれだけリアリティのある情報を収集ができるかがカギとなります。
効率のよい情報収集のやり方
効率の良い情報収集のやり方は、転職エージェントを利用しながら並行して、自分自身でも情報収集をするやり方です。
- 転職エージェントに登録 経験やスキルを客観的に評価してもらう、希望条件に合った求人を紹介してもらう
- 自分自身でも情報収集をする 求人サイト、SNS、ブログ、口コミサイト、実習など
エージェントの利用と並行して自分自身でも情報収集する理由として、以下のようなことがあげられます。
- 情報量を増やすため
- エージェントからの情報の裏付けをとる(実際に自分に合うかどうか)
- エージェントに依存しすぎない
転職エージェントの仕事は人材を採用したい企業や病院と求職者をマッチングさせることです。
地方など、そもそも人材を欲しがっている企業や病院が少ない場所では、必然的に求人数は限られてきてしまいます。
また、非公開求人が一般公開されている求人より必ずしも優れているわけではなく、一般公開されている求人の中から自分に合う求人が見つかる可能性もあります。
そして何より、自分で主体的に転職活動を進めることができないと、問題が出てきたときにその責任をエージェントのせいにししまい、転職は失敗だったと感じてしまう原因になりかねません。
また、転職活動は効率よく行うことも重要です。
なぜなら、期間を決めずにだらだら長引かせてしまうと、転職へのモチベーションが落ち、踏ん切りがつかなくなってしまう可能性が高いからです。
また、長引くことで転職活動が重荷になり、目先の条件だけで安易に転職先を決めてしまうリスクもあります。
転職エージェントから良質な求人情報やノウハウを得ながら、自分でもリアリティのある情報収集を行い、効率よく転職活動を進めることが転職に失敗しないための重要なポイントです!
次の記事は、Vet Agentという獣医師特化型の転職エージェントを利用した時の体験談です。
転職エージェントって実際どうなの?と利用することに不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください!
まとめ
今回は、転職を考えている人に向けて、どのように情報収集をしたらいいのか、その中でもどの方法を使ったら効率が良いのかについて解説しました。
転職において情報収集は要です。
どれだけ情報収集をしたか、どれだけ転職先に納得した上で働き始めるかで、その転職を失敗と感じるか成功と感じるかが変わってきます。
- 転職エージェントから良質な求人情報やノウハウを得る
- 自分でもリアリティのある情報をより多く集める
- 主体的に効率よく転職活動を進める
今回の記事を、ぜひ転職活動の情報収集の参考にしてみてください ^^
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