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企業系動物病院は働きやすい?法人経営の動物病院のメリットとデメリットを解説!

診察室で猫に注射する獣医師と保定する看護師

企業系の病院の方が福利厚生も整っているみたいで働きやすそうだけど、実際どうなのかな?

動物病院には獣医師個人が経営している個人病院法人経営の企業系病院があります。

企業系動物病院の特徴の一つとして、規模が大きく資金力があることがあげられます。

また、運営形態が法人のためコンプライアンス意識も高く、学べる環境もありながら福利厚生が手厚いこともあり、個人病院で働いていた人が待遇改善を求めて企業系病院に転職するケースはよく見られます。

この記事では、企業系動物病院への転職を考えている人に向けて、以下の3つについて解説します。

この記事を読んでわかること
  • 企業系動物病院と個人経営の動物病院の違い
  • 企業系動物病院のメリット・デメリット
  • 企業系動物病院と個人経営の動物病院のどちらを選ぶべきか

この記事を読むと、個人経営の動物病院と比較した企業系動物病院のメリットとデメリット、自分がどうちらの病院を選べばいいのかがわかります。

転職先に企業系動物病院を検討している人は、ぜひ参考にしてください!

この記事を書いた人
  • 動物病院と公務員で3回の転職を経験
  • 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
  • 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
  • 2児の母。
目次

企業系動物病院とは?

企業系動物病院とは、法人が経営している動物病院のことです。

動物病院を法人化すると、金融機関から融資を受けやすくなったり、所得税の減税や法人化後2年間の消費税免除、経費計上の幅が広がるなどの節税のメリットがあります。

一方、法人化することで社会保険の加入が義務づけられ、個人経営であれば確定申告だけ済ませていれば問題なかった税務処理は、書類が膨大な数になり手続きも複雑になります。

そのため、資金力のある法人が動物病院の経営に着手する場合もありますが、個人経営でスタートしてある程度売り上げが立ってきたら法人化する、という病院もたくさんあります。

メリットデメリット
・所得税減税
(※年間利益800万円以上になるかが減税の目安)
・法人化後2年間の消費税免除
・経費計上の幅が広がる
・資金調達の幅が広がる(融資を受けやすい)     
 など
・社会保険に加入しなければいけない
・税務処理が複雑化する
・役員報酬を設定すると、売り上げが減っても
 1年間変更できない など

近年、企業系動物病院は増加傾向にあります。

その理由は豊富な資金力にあり、飼い主がより高度な医療、サービスを求めていることが背景として考えられます。

まめしば

病気を診断・治療するために最新の設備や高度な治療が必要なケースが増えているということですね。

豊富な資金力を生かしたマーケティング戦略が取りやすいことも競争力強化につながっています。

病院の存在を認知してもらい、メリットを感じてもらうこと、そしてそれを来院へつなげることができないと動物病院の経営は成り立ちません。

まめしば

いくらスキルがあっても、それを効率よくアピールすることができないと宝の持ち腐れです。

企業系動物病院は資金力を生かし、専門化の意見を取り入れ(雇う)たマーケティング戦略を展開し、高度な医療とサービスを提供できるため強い競争力を発揮できることが強みと言えます。

企業系動物病院のメリット

勤務獣医師にとって、企業系動物病院で働くメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

ここでは、個人経営の動物病院と比較して、企業系動物病院で勤務するメリットについて解説します。

メリット①:福利厚生が整っている

メリットの1つ目は、福利厚生が整っていることです。

福利厚生は、お給料や賞与(ボーナス)などの基本的な労働対価以外の報酬やサービスを指します。

まめしば

例えば、雇用保険や労災保険、交通費や住宅手当、人間ドックの検診費用の補助、健康保険を企業にも負担してもらえるなど、会社によって様々です。

企業系動物病院は社会保険に加入していることはもちろん、その他に勤務しやすい環境を整えるためのサービスが充実しています。

また、法人経営は個人経営に比べて守らなければならない法律の規制が多く社会的な信用も大きいことから、コンプライアンス意識も高い傾向にあります。

メリット②:教育制度が充実している

メリットの2つ目は、教育制度が充実していることです。

企業系動物病院は規模が大きいので来院数も多く、勤務獣医師も多い傾向にあります。

そのため多くの先輩獣医師から学ぶ機会があり、多様な症例を経験することができます。

また、専門医や認定医がいたり、得意分野を持った獣医師により専門分野化されているため、高度な内容を学ぶ機会に恵まれています

院内で定期的に勉強会が開催されたり、セミナー費用の補助や専門医・認定医取得のバックアップをしてくれる病院もあります。

まめしば

勉強会は学ぶためのよい機会だけど、診療時間後の開催なので身体的に辛い、自由参加なのに強制参加の雰囲気があるなど、患者数が多く忙しいからこそ大変という意見もありました。

メリット③:院内設備が充実している

メリットの3つ目は、院内設備が充実していることです。

企業系動物病院はその資金力を生かして高度な医療機器を備え、2次診療的な立ち位置にある病院が多くみられます。

企業系病院でみられる高度医療設備の例
  • CT
  • MRI
  • 外科用Cアーム
  • 腹腔鏡
  • 硬性鏡
  • 膀胱鏡
  • 自動吻合器 など

上記は一例ですが、いずれも個人経営の動物病院では購入のハードルが高い医療機器です。

また、癌に対する免疫療法、椎間板ヘルニアや関節炎に対する幹細胞療法など再生医療に取り組んでいる病院もあります。

このように、資金調達の柔軟性が高いからこそ設備や技術の向上に投資しやすく、設備を充実させ個人経営の動物病院と差別化することができます。

まめしば

「経験を積める」「スキルを磨くため」という理由で企業系動物病院を選ぶ人は多いです。

メリット➃:グループ病院内での異動がある

メリットの4つ目は、グループ病院内での異動があることです。

企業系動物病院の中には複数の分院を持つケースがあり、その場合グループ病院間で異動があります。

同じグループ病院であっても、分院長や働いているスタッフによって病院の雰囲気は変わりますし、その地域の患者さんの特色なども違ってきます。

そのため、異動を通して多くの先輩獣医師から学ぶ機会を得られることは大きなメリットです。

また、動物病院はとても閉鎖的で人間関係も密になりやすい環境です。

そのため、人間関係がこじれてしまうと働き続けることが苦痛になってしまいますが、異動があることで勤務環境を変えることができるため、退職に至らずに済むケースもあります。

メリット⓹:昇進やキャリアパスが明確化されている

メリットの5つ目は、昇進やキャリアパスが明確化されていることです。

病院によっては、経験年数に応じたキャリアプランが決まっていたり、年収モデルを公表している場合があります。

キャリアプランの例
  • 1年目:一般診療の基礎や補助、各検査の手技・操作、犬猫の去勢手術
  • 2年目:一般診療、心肺蘇生、犬猫の避妊、X線読影、麻酔管理
  • 3年目:一般診療、専門チームに所属
  • 4~5年目:夜間救急対応、分院での単独診療
  • 5年目:分院長    

上記は例ですが、このように目安が決まっていると将来の見通しが立てやすく、

「いつになったら診察に出してもらえるんだろう・・・」

「いつになったら手術をさせてもらえるんだろう・・・」

というような不安をかかえることもありません。

まめしば

もちろん本人の適性や能力にもよるので、あくまでも目安として考えておきましょう。

企業系動物病院のデメリット

ここまではメリットについて解説してきましたが、よい面ばかりではなくデメリットも存在します。

ここでは、企業系動物病院でよく見られるデメリットについて解説します。

デメリット①:決められたルールに従わないといけない

デメリットの1つ目は、決められたルールに従わないといけないことです。

企業系動物病院ではグループ病院間で同等の医療の質を保つため、企業方針に従った診療を行わなければなりません。

個人病院であれば、院長の裁量で柔軟に対応できることでも、企業病院の場合は分院長といえども上層部に確認をとらなければいけない場合も出てきます。

そのため、イレギュラーな事柄に対して判断スピードがおちる場合があり、迅速な対応が難しいケースが出てきます。

また病院にもよると思いますが、一元したルールを設けることで地域のニーズが汲み取りにくいというデメリットも考えられます。

デメリット②:グループ病院内での異動がある

デメリットの2つ目は、グループ病院内での異動があることです。

異動は、メリットでもありデメリットでもあります。

異動により新たな職場環境に慣れる必要があること、飼い主さんとの信頼関係がリセットされてしまうことなどがデメリットとしてあげられます。

まめしば

新しい場所で新しいメンバーと仕事をするとなると、それはもう転職をしたのと同じ状況で、大なり小なりストレスも感じますよね。

また異動先を選べないと、「忙しすぎる」「症例数が少なすぎる」というように自分の求める環境とそぐわない場合もあり、異動がマイナスの結果につながることもあります。

デメリット③:経営陣と現場の認識にズレが生じることがある

デメリットの3つ目は、経営陣と現場の認識にズレが生じることがあるです。

企業系動物病院の大きな特徴の一つは、経営と診療が分かれている点です。

臨床経験のある獣医師が取締役として経営メンバーになっているケースもありますが、獣医師免許を持たず、診療経験のない経営陣により運営されていると、現場との認識にズレが生じることがあります。

  • 一人の獣医師(又は看護師)が実際の診療を通してどのようにスキルアップしていくのか
  • このような現場環境だとこういう問題が起こりやすい

という通常の勤務医であれば肌感覚としてわかるようなことが理解できていないと正しい人事評価につながりにくく、スタッフは不満を抱えやすくなります。

また、経営陣に診療の流れや現場の状況、医療従事者の倫理観を理解する努力がみられないと、売り上げ第一になりやすく、離職率の高さにつながってしまいます。

デメリット➃:来院数が多く忙しすぎる

デメリットの4つ目は、来院数が多く忙しすぎることです。

来院数が多いことは、より多くの経験が積めるという視点でみるとメリットですが、自分のキャパシティーを超えてしまうとデメリットにもなり得ます

個人経営の動物病院に比べスタッフの人数は多いものの、必ずしも来院数に見合っているとは限りません。

高度な医療を提供している分、1頭につき必要となるスタッフの数も費やす時間も多くなることも考えられます。

ここでも、現場の状況を経営側がどれだけ汲み取れているかが焦点となってくると思います。

まめしば

忙しすぎると心に余裕がなくなり、人間関係悪化の原因になってしまいますよね。
実際、忙しすぎる、人間関係に疲れたという理由で退職する人もいます。
(でも、その点は個人病院も同じですね ^^;)

ポイントは将来目指すキャリアを見据えて選ぶこと

笑顔の女性獣医師と犬猫

個人経営と法人経営、どちらの病院を選ぶにしてもメリットとデメリットの両方が存在します。

一概にどちらがいいというものではありません。

自分がどのような働き方をしたいかどちらを選べば将来なりたい自分に近づけるのかという視点で選ぶことが大切です。

そのためには、自己分析により自分の望むものを、自分自身が理解しておく必要があります。

目先の華々しい経歴やスキルよりも、自分の中でしっかりと軸を固めてから行動に移すことが、転職を成功させるためには不可欠です。

まめしば

つぎの記事では、自己分析をするメリットやポイントについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回は法人が経営する企業系動物病院と個人経営の動物病院の違いや、企業系動物病院で働くメリットとデメリットについて解説しました。

福利厚生や院内設備の充実度を見ると企業系動物病院は魅力的に映りますが、もちろんデメリットも存在します。

転職の失敗を避けるためには、個人病院と企業系病院のそれぞれの特徴や強みを把握した上で、自分のキャリアプランに合った形態を選ぶことが重要です。

そして、目指す方向性が決まったら良質な情報をどれだけ収集できるかも転職を成功させるための重要なポイントです。

自分での情報収集にはどうしても限界があるため、転職エージェントのような獣医業界に精通したプロの持つ情報は利用価値が高く、利用しない手はありません。

次の記事では、おすすめの転職エージェントについて徹底レビューしているので、ぜひ参考にしてください。

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好条件の転職先を見つけた勤務獣医師に、注意喚起する獣医師

この記事を書いた人

動物病院と公務員で3回の転職を経験。
動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。2児の母。

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