40歳という年齢を節目に転職を決意する人は決して珍しくありません。
私は、その理由は大きく分けて2つあると考えています。
- ライフイベントのため
- 収入・待遇アップのため
40代となると親も高齢になるため介護が必要になったり、何らかの病気をきっかけに実家の近くに住む必要にせまられたりすることもあります。
また、30代で結婚し家族を持つと、40歳前後は子供の成長から将来のことを考え始める時期にあたります。将来子供にかかるお金や自分自身の老後資金など、収入アップを考えて転職に踏み切るケースもあります。
家族と過ごす時間をもっと増やしたいと考えるようになったり、20代~30代を仕事一色で過ごしていた人は、これからも今の働き方でいいのだろうかと疑問を持つ時期かもしれません。
この記事では、40代で転職をする時に採用担当者が注目するポイントを職種別に解説します。
- 40代で転職することはできるのか?
- それぞれの職種において採用担当者が注目するポイント
- 転職に失敗しないための心構え
動物病院や産業動物獣医師(地方の公務員など)は獣医師不足の傾向があるため売り手市場ですが、40代では転職が難しい職種もあるので、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてください。
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
職種次第では40歳以上でも応募可能!
獣医師の場合、40代で転職する例はよく見られます。
動物病院は年齢より経験やスキルを評価して採用する傾向が高く、地方の公務員は人手不足のため年齢制限を高く設けている自治体がたくさんあります。
一方、国家公務員(農林水産省、厚生労働省の場合)は年齢制限があり、受験資格は30歳までとなっています。
また、民間企業の中でも製薬会社は第二新卒までの採用にとどまることが一般的で、中途採用自体行っていない企業もあります。
専門的な知識があることを条件に求人を出している製薬会社もあります。ただ、条件がかなり高度な内容なので同業種内転職を想定しての求人だと思われます。
採用で重視していることとは?
転職するなら条件の良いところを選びたいと思うのは、誰しも共通することだと思います。
ただ、条件に合致する転職先が見つかっても、採用してもらえなければ転職は成功しません。
ここでは、転職する職種ごとに採用担当者が注目するポイントについて解説します。
転職例⓵:動物病院⇒動物病院
転職例の1つ目は、動物病院から動物病院への転職です。
転職先の動物病院の状況によって、どんな人材を欲しがっているかは一概に言い切れませんが、経験やスキルが重視されることが一般的です。
例えば、夕方の忙しい時間帯だけ人手が欲しいのであれば、それほど高度なスキルが必要とされることはないでしょう。
重症な症例は自分が把握していないと気が済まない、というタイプの院長の場合も、役割としては補佐的に仕事をこなしてくれる獣医師の方が好まれることもあります。
私がパート獣医師として勤務していた病院では、将来開業を目指していた男性獣医師の先生がいたのですが、自分のやり方(今まで勤務していた病院のやり方)にこだわりがあるせいか、院長のやり方に納得できない時があり、そんな時は院長もやりにくそうでした^^;
それでもスキルがなくて困ることはあっても、あって困ることはありません。
特定の分野の専門性を掲げている病院では、認定医資格などがあると優遇してもらえることが多いですし、院長やスタッフと上手くコミュニケーションをとることができるのであれば、基本的に経験やスキルの高さは歓迎されます。
転職例②:動物病院⇒民間企業
転職例の2つ目は、動物病院から民間企業への転職です。
民間企業への転職となると、動物病院以上にスキルが重視されます。
そして形態としては基本的に正社員採用です。
転職例としては、以下のようなものがあります。
- ドラッグインフォメーション: 医師や看護師からの医薬品情報に対する問い合わせ対応。
- ペットフードメーカーでの学術営業: 販売代理店への学術情報提供や動物病院における院内セミナーなどの企画・実行を通してのプロモーション活動。
- 動物医療品メーカーでの学術業務: ペットフードやサプリメントに関して外部獣医師(大学、ホームドクター)との共同研究、企画・開発、学術資料作成。
また、前職からブランクがあったり、育休明けで仕事を再開するとなると採用のハードルは上がる傾向にあります。
直近で何をやっていたかが重視される傾向にあり、ブランクがあるとフルタイムで働けるのか不安視されてしまうことが原因です。
また、企業が重視するのは勤続年数などではなくあくまでもスキルで、純粋に何ができるか、ということです。
そのため、採用担当者の不安を払拭するだけのスキルがあれば、採用も十分可能だと思います。
例えば、持っているスキルと関係のない職種に就きたいのであれば、スキルを身につけてから転職するのもアリです!
また、獣医師の中には一般的な就職活動を経験したことのない人も多いと思います。
そのうえ獣医師の関わる仕事は様々あり、情報収集も大変です。
おすすめの情報収集の手段の一つに、転職エージェントを利用する方法があります。 (この記事もエージェントから聞いた情報を参考に書いています ^^;)
無料で利用できるうえに、一般には公開されていない情報や転職のノウハウも聞くことができるので、利用価値がとても高いです。
転職例③:動物病院⇒地方公務員
転職例の3つ目は、動物病院から地方公務員への転職です。
動物病院から地方公務員への転職はよく見られます。
私もこのパターンで公務員に転職しましたし、同じ研究室の友人3人もこのパターンを経験しています。
公務員としての獣医師の仕事は食品衛生業務、環境衛生業務、食肉衛生検査業務、県の場合は家畜保健所での家畜衛生管理指導になります。
- 食品衛生業務: 飲食店の営業許可、監視衛生指導、食中毒の調査及び検査など
- 環境衛生業務: 旅館業、公衆浴場、理美容所、クリーニング所、興業所の開設に関する業務、貯水槽水道施設の監視衛生指導、狂犬病予防関係業務、動物愛護関係業務など
- 食肉衛生検査業務: と畜場や食鳥処理場で家畜、家きんが衛生的に処理されているかの検査・監視・指導業務など
- 家畜保健所: 家畜の伝染病予防に関する事務、家畜疾病の診断、飼養衛生管理の指導など
食品衛生業務や環境衛生業務などは獣医師としての専門知識は正直必要ありません。
それぞれの施設の許可を出したり衛生指導をするためには食品衛生監視員、環境衛監視員の資格が必要です。
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師であれば無条件にそれらの資格が取得ができるため、自治体では保健所業務で獣医師を採用しています。
ただ、配属された部署によっては専門知識が役に立つこともあるため、獣医師資格を全く活かすことができないというわけでもありません。
上司の考え方にもよりますが、私が在籍していた部署では担当は各自持ちつつも、誰が休んでも業務が回るよう幅広く仕事をふられていました。
ただ、私の経験からすると知識や経験よりコミュニケーション能力やマルチタスク能力の方が重要だと感じています。
知識や経験は後から身につけても問題ありませんが、チームでの仕事なのでコミュニケーション能力がないと効率よく仕事を進めることが難しいと思います。
転職例➃:公務員・民間企業⇒動物病院
転職例の4つ目は、公務員・民間企業から動物病院への転職です。
過半数以上の獣医学生が動物病院へ就職しますが、様々な理由(理想と現実のギャップ、待遇の悪さ、低い収入)で白衣を脱ぐ決意をする人は少なくありません。
しかし40代になると、逆に一念発起して臨床にチャレンジしようとする人も一定数います。
先にも書きましたが、動物病院はスタッフが流動的で売り手市場です。
その病院がその時点でどんな人材を必要としているかにもよりますが、一部のケースを除いて一時診療の病院で特別なスキルを求められることはないと思います。
どちらかというと、スキルよりも学ぶ意欲や院長を含めスタッフと上手くコミュニケーションを取れるかということの方が重要です。
また、将来開業を目指しているのか、勤務医として働き続けるつもりなのか、将来のビジョンについても明確にしておいた方がミスマッチが起こりにくくなります。
転職に失敗しないために必要な心構えとは?
転職活動は、自分の条件に合う求人を探し、応募し、相手に採用してもらって初めて活動終了となります。
好条件の求人にいくつ応募しても、採用してもらえなければ転職は失敗に終わってしまいます。
相手に採用してもらうためには見返りばかりを求めるのではなく、自分にはどんな能力があるのか、どういう形で相手に貢献できるのかということを明確にし、アピールする必要があります。
そのためには条件ばかりにとらわれずに、「この場所でこういうことがやりたい!」という想いを持つことも重要です。
条件のよい求人にいきなり飛びつくのではなく、まずは自分が仕事に求めるものや、どんな働き方がしたいのかについて自分自身で理解していることが重要です。
そのためには、自分の性格や大切にしている価値観も含めて、一度しっかり自己分析をすることをおすすめします。
次の記事では、自己分析をするメリットやポイントについて解説しているので、ぜひ参考にしてください!
まとめ
今回は、40代で転職をする時に採用担当者が注目するポイントを職種別に解説しました。
転職をすることでスキルアップしたり、気づくことや得られることもあります。
それでも目標とする将来像へ到達する道のりを考えると、必要以上に転職を繰り返すことは遠回りになってしまいます。
一度立ち止まって、自分の将来について考え転職と向き合ってみてください。
結果、転職をしてもしなくても、みなさんが生き生きと仕事に向き合えるようこの記事が参考になれば幸いです!
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