休みも取りにくいし、毎日残業ばかりでヘトヘト…
身体が限界でもう辞めたい。
残業のわりに給料少ないし、昇給し続ける保証もないから将来が不安。
辞めて給料いいところに転職した方がいいのかな…
獣医師として働くなかで、辞めたいと思うこともありますよね。
特に動物病院は長時間労働が当たり前で、そのうえ福利厚生などの保障は不十分なことが多く、将来に不安を感じるのも無理はありません。
この記事では、動物病院で働く獣医師はどんな理由で辞めたいと思っているのか、何を基準に辞めるべきか続けるべきかについて判断すればいいのかについて解説します。
今の職場を辞めたい、または獣医師の仕事を辞めたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください!
- 動物病院と公務員で3回の転職を経験
- 動物病院勤務では、平均14時間におよぶ長時間労働やトップダウンの経営方針に悩む。
- 結婚を機に退職し、現在は獣医師のキャリア形成について発信。
- 2児の母。
獣医師が仕事を辞めたいと思う理由5つ
仕事を辞めたいと思う人の中には、今の職場を辞めたいと思っている人もいれば、獣医師であること自体を辞めたいと思っている人もいると思います。
いずれにしても辞めたい理由としては、次の5つに当てはまると思います。
- 過酷な労働環境
- 人間関係
- 労働に見あわない収入
- 雇用や収入が不安定
- ミスマッチ
理由①:過酷な労働環境
動物病院では長時間労働が当たり前なうえに、動物の健康や命を預かる責任もあり、心身の負担がとても大きい仕事です。
法律で決められている労働時間を守れていない病院も多く、なかにはそうした労務管理の知識がないまま病院経営をしている院長もいます。
残念なことですが、「自分が勤務医の時もそうだったから」という理由で
法律を無視した経営をしている院長が多いのが現状です。
また、近年は動物の飼養頭数が減少傾向であることに対し、動物病院の数は増え続けています。
そのため十分に利益を上げられず、限られたスタッフで診療を回している病院も少なくありません。
それがスタッフ一人当たりの負担を大きくし、労働環境の悪化につながってしまっています。
次の記事では動物病院の残業の実態について、私自身の勤務事例をあげて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
理由②:人間関係
仕事を辞めたい理由に人間関係をあげる人は、とても多いです。
企業系の病院では数十人のスタッフをかかえている場合もありますが、個人病院ではほとんどの場合、数人~十数人規模です。
少人数で、しかも狭い空間で一緒に仕事をしていれば、自然と一人当たりに対するコミュニケーションのウエイトは大きくなります。
民間企業のように大人数で、役割分担に従ってそれぞれが仕事をしていれば、苦手な人とは事務連絡レベルの最低限のコミュニケーションで済まされます。
しかし動物病院では、苦手な人や気の合わない人とも、ある程度密にコミュニケーションをとる必要がでてきます。
さらに、睡眠不足や疲れがたまると、人はイライラしてポジティブなコミュニケーションをとれなくなってしまう傾向にあります。
疲れていると、ふだんなら気にならないような些細なことにイライラしてしまったりしますよね(私だけ …ではないはず ^^;)
また動物病院の院長は、経営者としての意識や知識が不足していることが多く、スタッフ間のもめ事に適切に対処できなかったり、もめ事を予防するような環境づくりができていません。
こうしたさまざまな状況が、動物病院での人間関係を難しくし、離職率の高さにつながってしまっています。
理由③:労働に見あわない収入
動物病院で働く獣医師の1日の労働時間は、平均13~14時間にもなります。
獣医師の収入は他の職業と比べて群を抜いて低いわけではありませんが、労働時間の長さを考えると全く割にあいません。
民間企業のように福利厚生などの保障が十分ではないため、税金の支払いや予期しない事情で働くことができなくなった場合、自分の限られた給与から補填しなければなりません。
また、残業代が正しく支払われない、休日出勤の手当てがないなど、支払われるべき賃金が支払われないことも当たり前のようにあります。
収入が労働に見あっていないことが原因で、仕事を辞めたい、獣医師を辞めたいと感じる人はたくさんいます。
次の記事では、獣医師が稼げない理由や、収入を増やすためのポイントや注意点について解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。
理由➃:雇用や収入が不安定
雇用や収入が不安定なため、将来に不安を感じて辞めたいと思う人もいます。
院長に経営のスキルが不足していたり、競合する動物病院が増えてきているなど、さまざまな要因で十分に収益を得られていない病院は少なくありません。
収益があげられないことで、残業代が出ない、昇給やボーナスがなくなるなど収入は不安定になります。
私も転職先の病院で、ボーナスが出なかったことがありました。
「売り上げが悪くて今回はボーナスは出せない」と言われた時は、やっぱりショックでした。。。
また、長時間労働、低賃金、職場の人間関係などさまざまな理由で、条件の良い病院へ転職するスタッフがいるため、頻繁にスタッフが入れ替わり、雇用も不安定になります。
人手不足にもかかわらず、病院に新しいスタッフを雇う経済的な体力がないため、労働環境が過酷になり離職につながる負の連鎖になってしまいます。
転職時は、雇用が安定しているかや、過去の昇給やボーナスの支給実績についてもあらかじめ情報収集しておくことが大切です。
…とはいえ、お金については聞きにくいこともありますよね ^^;
そういったHPには記載されないような情報を得るためには、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは病院HPには載らないような情報をもっているだけではなく、雇用条件の交渉を代行してくれます。
次の記事では、おすすめの転職エージェントについてレビューしているので、ぜひ参考にしてください。
理由⑤:ミスマッチ
ミスマッチが原因で仕事を辞めたいと思っている人については、今の職場にミスマッチを感じている場合と、選んだ職種自体がミスマッチの場合があります。
キャリアアップやキャリアチェンジしたい場合は、このミスマッチに当てはまります。
- 今の職場では望むスキルが身につかない
- 人間関係に問題がある
- 院長の診療方針に不満がある
- 雇用条件に不満がある など
- 不規則な働き方が合わない
- 業界の体質が合わない
- 雇用や収入を安定させたい
- 仕事にやりがいが感じられない など
これらはあくまでも例で、人間関係に問題があるからといって職場環境だけに問題があるとも限らないし、わずかですが、比較的規則的に働ける動物病院もあります。
ミスマッチかどうかについては、仕事でどんなことを実現したいのか、どんな働き方がしたいのかという、働く上で軸となる部分を重視することが大切です。
辞めるべきかどうかの判断基準は?
辞めたいと思うのは自分の頑張りが足りないせいではないかと悩む人も多いのではないでしょうか。
もちろん、働き始めやステップアップの節目では、乗り越えなければならない壁に途方に暮れ、逃げ出したくなることもありますよね。
そういう時はステージアップにつながるので、続けた方が将来的には自分のためになる場合もあります。
では、その判断はどこですればいいのかが問題です。
ステージアップにつながるからといって、過度な負荷を我慢して心身に不調をきたしたら元も子もありません。
次のような場合は、一度環境を変えて自分と向き合ってみた方がいいサインかもしれません。
- ストレスレべルが高く、心身に不調が出ている (食欲がわかない、眠れない、突然涙が出るなど感情のコントロールができない)
- 現在の仕事を続けていても自分自身の成長につながらない
- 将来的な目標が達成できそうにない
キャリアアップやスキルアップが望める環境になかったり、獣医師としてのキャリアだけではなく、望む生活やライフイベントが叶わないような場合は、環境を変えた方がプラスになる可能性が高いです。
将来やりたいことがわからない場合は、環境が許すのであれば続けることで仕事のやりがいや楽しさに気づくこともあります。
ただ、辞める=悪いことという思い込みや固定観念だけで仕事を続けている場合は、結果的に時間をムダにしてしまうので注意してください。
辞める決意をしたらやるべきこと
次はしっかり自分に合う職場をみつけるぞ!
待ってください!
仕事を辞めるからといって、すぐに次の職場を探すのは危険です。
転職活動をはじめる前に、次の4つをやっておくことをおすすめします。
- 自己分析 自分の経験やスキル、性格や価値観も含め、将来獣医師としてどうありたいのか、どんな働き方がしたいのかしっかりと自己分析をすることがミスマッチを防ぐことにつながります。
- 働く目的について考える 「何のために働くのか」について一度じっくり考えてみましょう。 生活のためでもありますが、その仕事でなければならない理由や、仕事をとおして実現したいことについて、しっかりと自分自身が理解しておくことも大切です。
- 情報収集 働く環境がミスマッチだと自分の能力を発揮したり、成長することができません。 自分のやりたいことや、自分の望む働き方ができる場所なのか、しっかりと情報収集することが重要です。
- マインドセットを変える 自分のマインドがどうあるかということは、仕事に対する姿勢や周囲との関わりに大きく影響します。 また、ネガティブなマインドは自分自身の成長の妨げにもなるので、マインドセットをポジティブに整えておくことが大切です。
この4点については、次の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
自己分析の一環になりますが、なぜ仕事を辞めたいと思ったのか、ミスマッチの原因をしっかり理解しておくことも大切です。
仕事を辞めたいと思った理由を堀り下げていくと、自分が大切にしている価値観に気づくこともあります。
このように、自己分析をして自分が仕事に求めるものや望むものをしっかりと理解した上で、キャリア設計を見直してみてください。
まとめ
今回は獣医師が仕事を辞めたいと思う理由や、辞めるかどうかの判断基準、辞めると決めた後にやるべきことについて解説しました。
仕事を続けるかどうか迷った時、辞めるかどうかの重要な軸となるのは自分が何を望んでいるのかということです。
また、自分のやりたいことと向いていることが異なる場合もあるので、どんな過程や方法によって実現できるのかについて考えてみることも大切です。
まずは自己分析によって自分自身を深く理解し、辞めるべきかどうかキャリアの方向性について見直してみてください。
今の職場、または獣医師の仕事を辞めたいと悩んでいる人に、今回の記事が参考になれば幸いです。
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